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連れてこられたのはどっかの牢獄。
そこで私は叫んだ。
「ちょいまった。」
「何ですか。」
傍らに居た人物が即座に問う。
私は彼を見据え、言った。
「ここは何処だ。そしてお前は誰だ。」
彼は少し驚いた顔をし、私を見た。
赤い瞳が私を睨む。
「・・・・、人にものを尋ねるときは、まず自分から話すのが礼儀だと思いますが。」
彼は意地悪そうな顔でそう言った。
私はむっとしながらも答えた。
「私の名前は夏月 梓(カヅキ アズサ)。多分、こことは別の世界からやって来た普通の少女だ。」
私が凛とした言葉でそう答えると、彼は心底驚いた顔をした。
しかし、暫く固まってから眼鏡の位置を直し、私を睨んだ。
「・・・・貴女の言ってることは嘘では無いようですね。その妙な服装と空から降ってきたのが何よりの証拠ですから。」
彼は、私のセーターの上にコートを着てズボンをはいているごくシンプルな格好をみて言った。
私は信じてもらえた事に少しだけ・・・・ほんの少しだけ嬉しくなった。
「ですが。」
彼はそう言葉を区切った。
「私は貴女の言ったことを完全に信じた訳じゃありませんから。」
っち。
世の中そう上手くいかないものだな。
「まぁ、私の名前とここが何処だか位は教えておきましょう。私はマルクト帝国軍ジェイド・カーティス大佐です。此処はピオニー9世陛下が治めるマルクト帝国の首都、海上都市、グランコクマです。あ、因みにここは見ての通り、牢獄ですよ?」
私は絶句した。
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