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それは此処が牢獄だと知ったからじゃない。
それよりも。
私は目の前の人物を知っていた。
そして此処が何処だかも分かってしまった。
それに吃驚だ。
「なぁ、<<死霊使い>>。」
私は、ジェイド・カーティスと名乗った軍人に、そう呼びかけた。
カーティス大佐は直ぐに振り返り、私を見た。
その顔に浮かぶは驚き。
あぁ、そうだろう。
私は仮にも異世界の人間だ。
その異世界人が何故、自分の二つ名を知っているのだろう。と思ったんだろ。
私だって、知りたくもなかったし、呼びたくなかった。
一生、誰かをこの呼び名で呼ぶことはないと思っていた。
でも、私は分かってしまったから。
「ジェイド・カーティス大佐。
<<死霊使い>>ジェイド。
そして・・・・、フォミクリー研究の第一人者、ジェイド・バルフォア博士。
どれも、アンタの名前だろ?ジェイド・・・・。」
私がそう締め括ると、ジェイドはコンタミネーション現象によって体の中に隠されていた槍を構えていた。
「貴女・・・・何故私の・・・・。」
低く、少し震えた声でジェイドは言った。
私はそれに答えない。
それどこじゃないから。
此処はグランコクマ。
つまりオールドラント。
だから、私は。
「アビスの世界にトリップしたんだ・・・・。」
その結論に達した。
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