一章:海上都市と青の大佐

5/13
前へ
/211ページ
次へ
アビス・・・・。 最近私がはまっているゲーム。 あぁ、そっか。うん。 「・・・・あ、有り得ねぇぇぇぇええ!!!」 私は力の限り叫んだ。 トリップ? そんなものが現実にあって良いわけがない。 そう、だからこれはきっと夢。 悪い夢なんだ───。 「ジェイド。」 私は一旦黙り、槍を構えたままのジェイドに言う。 「私の目を覚まさせてくれないか。」 「・・・・は?」 ジェイドは訳が分からないと言う顔。 「私、悪い夢をみてるみたいなんだ。だから、目を覚まさせてほしいんだよ。」 私の言葉に、ジェイドは何か思い付いたような顔をしほくそ笑んだ。 「いいですよ。それでは行きます。荒れ狂う流れよ───スプラッシュ!!」 キリリと切れの良い言葉と共に私の頭上から水が流れ落ちた。 しかし、私にかかる前にそれは二つに割れ、床に落ちた。 「・・・・Why?」 「おかしいですね。」 ジェイドは、自分の譜術が当たらなかったことに疑問を覚えたらしい。 私もだ。 この狭い牢獄で、ジェイドともあろう人間が、譜術を外すとは思えなかった。 「何かによって、貴女が守られているとしか考えられません。」 眼鏡を直し、そう呟くジェイド。 途端に、能天気な声が天井から聞こえた。 「ふぅ。間に合って良かった~。」
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加