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アビス・・・・。
最近私がはまっているゲーム。
あぁ、そっか。うん。
「・・・・あ、有り得ねぇぇぇぇええ!!!」
私は力の限り叫んだ。
トリップ?
そんなものが現実にあって良いわけがない。
そう、だからこれはきっと夢。
悪い夢なんだ───。
「ジェイド。」
私は一旦黙り、槍を構えたままのジェイドに言う。
「私の目を覚まさせてくれないか。」
「・・・・は?」
ジェイドは訳が分からないと言う顔。
「私、悪い夢をみてるみたいなんだ。だから、目を覚まさせてほしいんだよ。」
私の言葉に、ジェイドは何か思い付いたような顔をしほくそ笑んだ。
「いいですよ。それでは行きます。荒れ狂う流れよ───スプラッシュ!!」
キリリと切れの良い言葉と共に私の頭上から水が流れ落ちた。
しかし、私にかかる前にそれは二つに割れ、床に落ちた。
「・・・・Why?」
「おかしいですね。」
ジェイドは、自分の譜術が当たらなかったことに疑問を覚えたらしい。
私もだ。
この狭い牢獄で、ジェイドともあろう人間が、譜術を外すとは思えなかった。
「何かによって、貴女が守られているとしか考えられません。」
眼鏡を直し、そう呟くジェイド。
途端に、能天気な声が天井から聞こえた。
「ふぅ。間に合って良かった~。」
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