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「ずっと貯めてたお年玉とお小遣いがあるんで……」
葵はゴソゴソと鞄から通帳を取り出し、山田に渡した。中を見ると十分な額が入っている。
(最近のガキは……)
山田は通帳を返した。
「依頼が完了した時点で佐伯さんから請求書が行きます。料金は依頼内容によって幾分上下しますが、葵さんなら払えると思います。
えー……と、ところで依頼者は生前男性と同棲してましたか?」
「はい。ねぇねは……あ、姉は高校卒業したのと同時に家を出て、それからもう7年は同棲してました。結婚の約束もしてたみたいでした……」
「7年も同棲……」
よく飽きないな、言いかけて止める。
「相手の男性の名前は? 彼が住んでる住所わかりますか?」
「……えっと長いので紙に書きますね」
葵は自分の手帳を破ると、スラスラと書き始めた。シャーペンの先についた兎の飾りが、文字が書かれる度に左右に揺れる。
思わず手が出そうになった時、葵が手を止めてこちらを見た。あやうくジャレるところだった。
「書きました」
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