10人が本棚に入れています
本棚に追加
「……な、なんだよ」
不気味な笑みを浮かべる佐伯に、青年は顔をひきつらせた。
「受けてくれますよね? この依頼」
「はぁー? まさか今時食べ物でつるつもりなのか?」
反抗的な態度の青年に気分を害するわけでもなく、佐伯は莉緒の方を向いて手を出した。無言で渡される一枚のレシート。
「では今すぐ、きっちりきっかり払ってもらえますか? 食事の代金」
依頼書の上に置かれたレシート。
銀のス○ーン……○○個、○円。
「……おごりじゃないの?」
無言で頷(うなず)く満面の笑みの佐伯。
ポケットから財布を取り出しテーブルの上でひっくり返すと、コンコンと音を立てて小銭が数個テーブルの上に転がる。
全部で598円。
「……ツケにしてくれない?」
無言で首を横に振る佐伯。
「……りぃ、お金貸し」
青年が言い終わる前に、すごい勢いで首を横に振る莉緒。首が折れそう。
「受けてくれますよね? この依頼」
変わらない笑みを浮かべる佐伯。
青年は観念した。
.
最初のコメントを投稿しよう!