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葵の氷が溶けて薄くなったコーラと、自分が食べ終わった食器をウェイターに下げてもらうと、新しいコーラと自分用にアイスコーヒーを頼んだ。他に客もないので、すぐに運ばれてくる。
ウェイターの背中を見送って山田は話を切り出した。
「で、依頼の話なんですが、……この依頼したの本当に葵さんですか?」
「……どうしてそう思うんですか」
「葵さん……その制服、よつ葉中学ですよね? この依頼、内容だけ読むととても中学生が頼むような内容じゃないし……」
「……あの、内容ちょっと見せてもらえますか?」
山田は少し考えた後、葵に依頼書を渡した。元々仕事に乗り気じゃない山田は、「実は罰ゲームで友達に無理やり…」みたいな感じで仕事がキャンセルされるのを密かに期待している。
そんな山田の心なんて知らない葵は、依頼書に書かれた短い文章を読んで、小さくため息をついた。
「実は……」
葵が申し訳なさそうな顔で山田を見る。山田自身は喜びを表に出さないようにすることで精一杯だ。
「これ……私の姉が頼んだ依頼なんです」
落胆する山田。彼にポーカーフェイスなんてできるわけがなかった。
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