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第一章【前編】
キラキラと月の光が水面に反射して煌(きら)めく。
砂浜に座り、その様子を眺めている青年がいた。
彼にこれといった外見的特徴はなく、強いて言えば、その顔は死んでいるかのように無感情だった。
海が波打つ度に、海水は彼を捉(とら)えようと近づき、諦めては離れていく。
一体どのくらいの時を彼はそこで過ごすつもりなのか。
誰も知らない。
彼自身にさえわからない。
そんな彼をただ月だけが優しく見つめていた。
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