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正しいからこそ、実行出来なかった。
「やりなさいよ。やって、もし傷付いたら、泣きたくなったら…その時は……。」
桜はその小さな体で私を力強く抱きしめた。
「私が……そばにいてあげるから。」
「………私に、惚れたの?」
桜の温もりにやっと理性を取り戻した私は、取り乱した恥ずかしさで彼女を突き放せなかった。
「不本意ながらね。」
「なんだ……それ。」
強がっておどけて見せた。
「いいから、彼女と話してきなさいよ。じゃないと、先に進めないじゃない。私、きっちり終わってからじゃないと、次のステージにうつせないたちなの。」
「強引だなぁ…。」
「うじうじしてるからよ。」
「はは…そうだね。」
すっかり桜のペースにのせられていた。
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