†舞い降りた天使

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冬の病室、私はベッドの上から窓の外を眺めることしかできない。 もう何年も見てきた景色だった。 私「はぁ、今日はなんだか調子がよくないなぁ。」 私の病気の原因は不明である。 胸が締めつけられるように痛くなる。 もっとも痛みを感じるのが、真夜中だけという不思議な病気だった。 しかし、いつ発作が起こるかわからないという状態から外出が禁止されていた。 私「はぁ、 外にでたいなぁ。学校に行って、友達を作って一緒に遊びにいったり、「恋」をしたり…。」 私「っ!」 急に胸の痛みが激しくなって、呼吸が苦しくなって気が遠くなってきた。 私「ナースコール…、っ!。ぐっ、ゴホ。」 おびただしい血が真っ白なベッドに花を咲かせていた。 あと少しでナースコールに届くところで私は力尽きてしまった。 真っ暗な何もない場所で気がついたら。 私は悟った、自分はもう死んでしまったのだと。 私「ここはどこかな? 地獄かな?」 自分がどこに立っているかさえも分からないほどに、暗闇が続いていた。 どこからか、足音が聞こえてきた。 私「っ! 誰かいるの?」 ?「よもや、そのような若さでここに来てしまったのか。可哀想に… しかし、まだここに来るには早すぎる。」 全身に光を纏った誰かが話しかけてきた。 私「誰なの? なにを言っているの? ここは、どこなの?」 ?「ここは、彼岸と此岸のはざま。 生きる者と、死す者の間。 冬子(とうこ)お前はまだやり残している事があるのではないか?」 冬子「! なんで私の名前を!? 確かにまだやりたかったことはあるけど…。」 ?「お前は、生きるという楽しさを感じられないまま死んでしまった。 だから、もう一度生を授けよう。」 冬子「え! 本当に?」 ?「ああ。 ただし期限を付けさせてもらう。」 冬子「期限?」 ?「クリスマスまでだ。 後1ヶ月だ。 俺に出来るのはこれで限界だ。」 その声を聞きおわると同時に、私は再び深い眠りについた。
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