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沙希『…藤沢先輩…?…ヒック……水月先輩は?』
受話器から沙希の声が聞こえてきた。
いつも勝気なはずの沙希の声が弱弱しく聞こえ、俺は胸が痛んだ。
力「…沙希……あいつ……ちょっと今、出ててな…ん…すぐに帰ってくっから……心配すんな。ちゃんと送り届ける。心配かけてゴメンな。」
沙希『…先輩……酷いですよ……私、凄く心配したんですよ?そりゃ、水月先輩のことだから寝ていた私のことを考えて起こさないように出ていったのかもしれないけ
ど……でも…っ…』
力「…沙希……あのな、昨日の夜さ、そっちに戻ったんだよ。けどさ、鍵が閉まっちまってて……。おまえに電話したんだけど寝てたみてーだし……ん……どうしようもなくってさ……俺の泊まってる
ホテルに連れて帰ったんだよ。」
本当なら俺んトコのホテルに着いてすぐ寝て、朝早くに彼女を連れて行こうと思っていたのだが…。
完全に……俺の失態だ。
力「…ごめんな……おまえの大事な先輩を……。ちゃんと連れて帰るから……」
沙希にとって水月の存在がどれだけ大きくて心強いかってことは俺も知っていたつもりだ。
だからこそ、今回のようなことはあってはならなかったのだが…。
沙希『……わかりました……ちゃんと帰して下さいよ?…私……不安で……』
力「あぁ…今日中には必ずな。」
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