1、5

3/4
前へ
/400ページ
次へ
「誰」 あたしはずっと一人だった。時折聞こえる嬌声の持ち主だって、あたしの世界にはいらない人だった。 ここは不可侵の領域。あたしだけのサンクチュアリ。 「――――」 ずっと外界からの接触を絶ち続けていたせいか、男性が言う文章を頭の中で全て再生することが出来ない。唯一聞き取れた言葉は「味方」 。あたしの味方という意味か、若(も)しくは味方じゃないよ。或いはあたしとは全く無関係。 目の前に差し出されたままの右手。 これは何を意味している? 男性が何か言った。口の動きを見ると二文、言ったみたいだが、解ったのは後の一文。迎えにきたよ。 誰を?あたしを?どうして。あたしはここがいいの。あたしはここにしかいられないの。
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加