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「誰」
あたしはずっと一人だった。時折聞こえる嬌声の持ち主だって、あたしの世界にはいらない人だった。
ここは不可侵の領域。あたしだけのサンクチュアリ。
「――――」
ずっと外界からの接触を絶ち続けていたせいか、男性が言う文章を頭の中で全て再生することが出来ない。唯一聞き取れた言葉は「味方」
。あたしの味方という意味か、若(も)しくは味方じゃないよ。或いはあたしとは全く無関係。
目の前に差し出されたままの右手。
これは何を意味している?
男性が何か言った。口の動きを見ると二文、言ったみたいだが、解ったのは後の一文。迎えにきたよ。
誰を?あたしを?どうして。あたしはここがいいの。あたしはここにしかいられないの。
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