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暗闇が好きなのかそう成らざるを得なかったのか。とにかく僕は廊下の明かりだけを頼りに少女の前に座る。
「……幸せだった?」
問うてみるが答えどころか反応もない。相変わらず手を耳に当て目を閉じている。
「寂しかった?ずっと暗闇の中にいたの?」
少女はゆっくりと目を開けた。
「僕と一緒においで。闇の中から連れ出してあげる」
僕は手を差し伸べた。少女はその手をじっと見てからしばらく僕を眺め、やはりゆっくりと手を下ろす。少しの間を置くと、辛うじて聞き取れるほどの音量で小さく呟いた。
「誰」
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