雨が上がる夏の空

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 眼鏡をかけているけど、肉付きの良さとその言動からは、どちらかというとスポーツマンの印象を受けるインテリ派。 「こぉんなしけた場所、よっく暮らせるよな。俺だったら一週間も持たずリタイアするぞ」 「しげ君、ダメだよそんなこと言っちゃ。はじめ君が……」  そんな彼を弱気に指摘しながら、ちらっとこちらに視線を向けたのは天音(あまね)だ。  恥ずかしながら僕の元恋人、といった感じかな。  ちなみに、はじめ君というのは僕のこと。 「いいんだよ。  別に町の人に聞かれてるわけじゃねぇし。  それに、はじめなら逆に謝ってくるぞ」  にしし、と白い歯をうっすら見せながら僕の方を向く。  わかってるならこっちを向いてくれるな。言い返す言葉もない。  けど、わざわざ僕のために来てくれたのは素直に嬉しいと思う。  そんな茂を困ったような顔で見つめながら天音は、もう、と小さな溜息をつく。  この二人とは結構長い付き合いで、今みたいな会話が日常的だった。  でも、今の天音は気弱すぎる。  あの頃なら、抱擁力のある口調で茂をなだめるのだが。  雨が降ると、人は気鬱になるというけど、それだけが理由じゃないのは確かだろう。 今の天音は、どこか影が差してるように見える。
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