雨が上がる夏の空

4/9
前へ
/11ページ
次へ
 茂もそれを察したらしい。天音の肩に優しく手を置いた。 「――大丈夫か。  やっぱまだ早かったんじゃねぇか? 辛いなら、戻って休んでろ」  肩に乗った茂の手に、天音が手を重ねてゆっくりと首を横に振る。 「大丈夫。大丈夫だよ。  私がしげ君に着いて来る、て言ったんだもん」  天音が茂を見つめ返すと、影を残しながらも優しく微笑む。 「心配してくれて、ありがとう」 「当然だろ。ま、大丈夫ならいいけどよ。 でも、無理はすんな」  うん、と僅かに頷きながら天音の視線が僕に向けられると、ゆっくりと弱々しく言葉が紡がれた。 「久しぶり、だね」  ああ、本当に。  元気だったか? 「はじめ君は、元気だった?」  どうだろうな。 「私は……あんまり」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加