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翌日、素子は早速許可を取りに生徒会室に向かった
生徒会長は二つ返事で許可を出し、校舎裏にある第三駐輪場を使わせてもらえるようになった
この第三駐輪場、駐輪場と言うものの、利用する生徒はまずいない
雨を避けるような屋根も無ければ、各門からも遠い位置にある
しかし、地面の状態はとても良く、校舎の屋上から見下ろすとちょうどいい位置にあるため絵を描くには絶好の場所だった
さらに生徒会長は念のためにと、車両の進入禁止令まで出してくれた
これには素子も感謝し、何度も頭を下げた
許可を得た素子はその日の放課後、早速ムサシをその場に連れていった
ムサシは自分の手の中に収まりきらないキャンバスに驚きを隠せないようだった
「どうした?手に負えなそうか?」
「そんなことないよ」
ムサシは笑顔だった
それを見て素子も微笑む
「どんな絵を描くか決めたのか?」
ムサシはポケットの中から折り畳まれた一枚の紙を取出し、素子に渡した
開いて見ると、木々が道を覆うように立ち並ぶ並木道に僅かに木漏れ日が差し込んでいる絵が描かれていた
並木道の一番手前側に、人の手が繋がれている様子が描かれている
「腕しか見えないが、これは誰だ?」
「この二人は友達なんだ」
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