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素子は純粋に大山から逃げたかった
それと同時に彼に言われたことも事実だった
その後も大山の勧誘は続いた
大山と一緒にやってくる部員達も含め、いつしか素子は言葉を交わすようになっていた
「結局、お前は堂々と遊びたいがために部活を作りたいわけだな」
「だから遊びじゃないってぇ…コミュニケーションを取りつつ相手のことを…」
「分かった分かった。じゃなんで私を誘う?私なんかいても邪魔だろう?」
「いやね、大体の人はチェックしてきたんだけど、君だけ笑ったとこ、見てないからさ」
「ハハハ…なんだそれ。そんな理由があるのか?」
「あ、いい笑顔じゃん」
「思えばあの日から笑うことが多くなった気がする」
素子は呟いた
素子の他人を羨みながら過ぎ去る日々は終わった
自分のために日々を歩むことにした
その一歩が心理研究部への入部となった
なぜ今このことを思い出したのか素子にも分からなかった
でも、それが無かったらきっと今こうしてここに座っていることはないと確信していた
ムサシが素子の側に駆け寄ってくる
「出来たよ」
さっきまで駐輪場だった場所がすっかり芸術品となっていた
「相変わらず上手いな。ところで色塗りは出来るのか?」
「大丈夫だよ。家では色付きの絵も描いてるから」
「ペンキとはまた別だろう?」
「いいの。ねぇ、ペンキはどこにあるの?」
素子はムサシに急かされ、用意していたペンキを近くの倉庫から持ってきた
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