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「着替えとかあるの?」 「ない」 「俺のジャージあるから貸すよ」 「部長はどうする?」 「二着あるから遠慮しないで」 大山は走って着替えを取りに行った 素子は絵を見下ろす   そこには数時間前と変わらないムサシの絵がしっかりと残っていた 雨に濡れても大丈夫なチョークを使っていたため、下書きもそのままだった 「はい、これ」 戻って来た大山は素子にジャージを手渡す 「ありがとう」 「でもさ、こんな少しの部分だったらまたすぐ塗り直せたんじゃないの?」 「あぁ、でも…この手は繋いだままにしておきたかったから…」 ムサシが色を塗った部分は、二人の手の部分だった 「離ればなれになったら可哀想だろ?」 「…意外と乙女チックなこと言うねぇ」 大山はニヤニヤした顔を見て、素子はそっぽを向いた 「私は着替えたらすぐに帰るからな!」 「あいよ」 素子を見送った大山は濡れた服のまま、家へと帰っていった
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