123人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい」
女が口を開いた
少年は身をすくめる
他の少年達もまるで自分が怒られているかのような気持ちになった
「人にぶつかっておいて、何も言うことはないのか？」
女は依然その場を動かず、少年を見る
「遊ぶのは結構だが、周りをよく見るんだな」
女はそれだけ言うと、歩き始めた
少年は安堵の表情を浮かべた
しかし、すぐにランドセルを大量に持つ少年を睨み付けた
「お前が早く歩かないからだぞ」
その声は女にも聞こえていた
「おい」
少年がその声に気付いた時には女がすぐ側にいた
「自分の失態を他人のせいにするな。……それと他人が嫌がることを押しつけるのも感心しないな」
「それは関係ないじゃん。それにこいつ、嫌って言わないんだからさ」
女はランドセルを持つ少年の方へ向き直った
少年は俯いたまま、何も言わない
「…とにかくお前は自分のランドセルだけを持て。他は置け」
少年は顔を上げ、彼女の顔を見た
「置け」
少年はランドセルを置いた
女の命令に背けなかっただけだった
「勝手なことするなよ！」
「そうだ！そうだ！」
これには周りの少年も黙っていなかった
女はやや面倒そうな表情を浮かべ、ため息をついた
「これはイジメだろ？バカなことなどせずに仲良く遊べ」
最初のコメントを投稿しよう！