4/10
前へ
/26ページ
次へ
「なんでお前の言うことなんか聞かなきゃいけないんだよ!」 「はぁ…」 二度目のため息をつく そしてしばらく考えた後に、口を開いた 「……なぁ、スズキ」 少年達は一斉に一人の方を見た その視線を受ける一人が驚きの表情のまま固まっている 「お前の秘密にしていることを言ってやろうか?」 「や、やめてよ!」 スズキは焦って様子で答える 「いいか?私は何でも知っているんだ。これ以上イジメなんて続けてるといずれ天罰が下る…いや、私が下してやるからな。分かったら自分のランドセルを持って仲良く帰りな」 それを聞いた少年達はすぐさま自分のランドセルを担ぎ、その場から逃げるように去っていった ただ一人、ランドセルを持たされていた少年だけがその場に残る 「…お前も気を付けて帰れ」 少年は女に頭を下げた 女はしゃがみこみ、少年と同じ目線になった 「…いいか?こういう時は『ありがとう』と声に出して言うんだ。感謝の気持ちを口に出せない人間はろくな奴になれないからな」 しかし少年は口をぱくぱくさせ、頭を下げるばかりだった 「…ひょっとしてお前、喋れないのか?」 少年は頷いた 「悪かった。さっき言ったことは取り消してくれ」 女はそのままの姿勢で頭を下げた
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加