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「なんでお前の言うことなんか聞かなきゃいけないんだよ!」
「はぁ…」
二度目のため息をつく
そしてしばらく考えた後に、口を開いた
「……なぁ、スズキ」
少年達は一斉に一人の方を見た
その視線を受ける一人が驚きの表情のまま固まっている
「お前の秘密にしていることを言ってやろうか?」
「や、やめてよ!」
スズキは焦って様子で答える
「いいか?私は何でも知っているんだ。これ以上イジメなんて続けてるといずれ天罰が下る…いや、私が下してやるからな。分かったら自分のランドセルを持って仲良く帰りな」
それを聞いた少年達はすぐさま自分のランドセルを担ぎ、その場から逃げるように去っていった
ただ一人、ランドセルを持たされていた少年だけがその場に残る
「…お前も気を付けて帰れ」
少年は女に頭を下げた
女はしゃがみこみ、少年と同じ目線になった
「…いいか?こういう時は『ありがとう』と声に出して言うんだ。感謝の気持ちを口に出せない人間はろくな奴になれないからな」
しかし少年は口をぱくぱくさせ、頭を下げるばかりだった
「…ひょっとしてお前、喋れないのか?」
少年は頷いた
「悪かった。さっき言ったことは取り消してくれ」
女はそのままの姿勢で頭を下げた
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