10/11
前へ
/135ページ
次へ
「オイ」 噂に関しては入学した直後だというのに、翌日には既に新入生にも広まっていた。 クラスメートの会話から、当然あたしも知ることになる。 キョウ先輩とモモ先輩。 その名前を聞かない日なんてこの2週間なかった。 学校一の有名人。 だから、避けてきた。 あっちはもうあたしの事なんて覚えてないかもしれないけど、極力関わりたくない。 あれ以来、桜の木にも近付いていなかった。 「シカトか」 モモ先輩の言葉が気になったのもあるけど、噂によるとどうやら彼らはそこにいる率が高いらしいから。 「いい度胸してんな」 ていうか、さっきから騒がしいんだけど。 やたらと視線を感じる。 前方を歩いていた生徒までもが振り返り、驚いた表情で固まっていた。 「エン」 …この声は。 もの凄く、嫌な予感がしながらも振り返ってみる。 「目逸らしてんじゃねぇよ」 金。 キョウ先輩。 その後ろにはモモ先輩。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

151人が本棚に入れています
本棚に追加