11/11
前へ
/135ページ
次へ
「…なんでいるんですか」 「手くらい振れっつーの」 「意味がわかりません」 「目合っただろ?普通挨拶くらいするだろ?ってなんだよ、その嫌そうな顔は」 そんな顔にもなるっつーの。 あたしはあの日、入学式をサボったことを激しく後悔した。 だってこの状況。 2人に向けられる大勢の視線の中にあたしもいるなんて。 明らかに目立ってる。 注目されてる。 この2週間人とあまり関わらず、静かに過ごしてきたのに。 それなのに。 「俺ら花見した仲じゃん。なぁ?モモ」 ガシッと。 あたしとモモ先輩の肩に腕を回し、自分の方へ引き寄せちゃうキョウ先輩。 その瞬間、周囲の空気…あたしを見る目が変わった気がした。 驚愕で見開かれる瞳。 彼らのファンと思われる女の子たちの悲鳴。 「てか、ついてる」 そんなのお構いなしにモモ先輩があたしの肩からつまみ上げたのは、桜の花びら。 そういえば、美術室の窓開いてたっけ。 ひらひらと地面に落ちていく様子を眺め、あたしは深く溜め息を吐いた。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

151人が本棚に入れています
本棚に追加