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クラスメートはきっと、ただ単純に噂の真相を知りたいだけだと思う。 それなら、いい。 だけど、あそこにいる先輩たちはどうだろう。 彼女たちがあたしに向けるのは、クラスメートのように好奇心かもしくは…敵意。 二年生の灰原響(ハイバラヒビキ)と桃代音弥(モモシロオトヤ)。 通称キョウとモモ。 彼らに近付く…近付きたいと考える女は、数え切れないほどいる。 「おっはよぉー春日さん。何か騒がしいね」 「…おはよう」 机に頬杖をつくあたしの顔を覗き込む女の子。 高くて甘い声、小柄で華奢な体、長い睫毛のパッチリした瞳。 誰が見ても可愛らしいこの子は、槙田紅(マキタベニ)。 入学してからみんなの輪に入っていかないあたしに、毎日声をかけてくれるクラスメート。 特別仲がいいというわけじゃなく…まぁ、挨拶をする程度。 「春日さん綺麗だから、先輩たち見に来てるのかなぁ?」 「いや、違うでしょ」 「えーそう?あたし、初めて見た時すっごい綺麗な子だなって思って話し掛けたんだよ」 天然? 槙田さん、昨日のこと知らないんだ。
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