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「見て、キョウ先輩だよ」
授業を終えた、美術室からの帰り道。
前を歩く女の子たちの弾んだ声に導かれるように、チラリとそちらに目を向けた。
視線の先…あたしの瞳に映るのは、目の覚めるような金色。
「モモ先輩も、あの2人仲よしだよね」
その傍らには、茶色。
桜の花びらのように淡く、柔らかい…茶色。
「ねぇ、そういえばあれってどういう意味?」
やけに目立つ男たち。
その理由は1人の髪が金色だから、だけではないだろう。
きっと、そのオーラ。
人を寄せ付けない、だけど目を奪われる彼らの存在感。
そして…
「あれ…って?」
その時、何をするわけでもなくただ呆然と地面を眺めていた金髪の男が不意に顔を上げた。
真っ直ぐに、佇むあたしと視線がぶつかる。
「ほら、キョウ先輩って…」
まずい。
パッと反射的に顔を背けると、あたしは何度も耳にした噂話を背に、足早にその場を立ち去った。
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