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「モモ」 さぁっと、春の心地良い風が通り過ぎる。 それと共に届いた声に、あたしはハッとして顔を向けた。 金。 ぼんやりとした世界に突如として現れたのは、眩しいくらいに金髪の男。 先輩? 制服の着慣れた感じとか、入学式の最中ってことから考えるときっとそうだろう。 本当ならネクタイの色で学年がわかるんだけど、金髪の首にはそれがない。 「モモ、いるんだろ?」 迷うことなく一直線にこちらに向かってくるその切れ長の瞳は、どうやらあたしの背後を捕らえているらしい。 だってあたしはモモじゃないから。 ちょうど木の反対側。 死角になっている箇所を覗き込むと、金髪は呆れたように大きな溜め息を零した。 「寝てんじゃねぇよ」 勢いよく振り下ろした手が何かに当たり、ペシッと乾いた音が響く。 するとすぐに、明らかに寝起きの掠れた声が返ってきた。 「………寝てねぇよ」 逆ギレ!!!!
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