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「不良に不良って言われたくないんですけど」 ちょこっとサボったくらいで不良って。 タバコも吸わないし、警察にお世話になった事もないあたしが不良って。 ていうか、外見で判断するならばむしろこの2人のほうが不良で間違いない。 金髪は、特に。 なにより、サボってるのはお互い様だし。 「俺?」 「他に誰が?」 「まじかよ!俺、不良なんて言われんの初めて」 あたしも初めてって金髪、そこ笑うとこじゃないから。 そして茶髪、いい加減凝視するのやめて。 もう何もついてないでしょ? 「不良じゃねぇなら、こんな所で何してんだよ?」 何って。 サボりたいためじゃなく、あたしがここに来たのは。 その理由は。 …そんなの、これしかないでしょう。 「…お花見」 「1人で?」 「いけません?」 あたしがそう言うと、金髪は眩しそうに目を細めて桜の木を見上げた。 長身で引き締まった体。 鼻筋の通った、綺麗だけど男らしい顔立ち。 チャラチャラした外見。 「寂しいやつ」 ふっと微かに浮かべたその笑みは、思いのほか優しかった。
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