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茶髪もやっとあたしから目を離し、気が付けば3人無言で桜の木を眺めていた。
暖かくて、風が気持ち良くて、茶髪が寝ていたのもわかる気がする。
お花見って今までしたことなかったけど、けっこう良いのかもしれない。
「お前なに?」
「は?」
そんな時、口を開いたのはやっぱり金髪だった。
なにってなに。
「名前、教えろよ」
「なん…「教えねぇなら勝手に調べる。後輩使ってもいいしー…あ、手っ取り早くクラス乗り込むか」
「…春日艶(カスガエン)」
拒否権なし。
クラスに来られるなんて、迷惑なことこの上ない。
あたしの望みは高校では目立たず、平和に過ごすこと。
それを知ってか知らずか。
金髪は先ほどとは違い憎たらしく、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「エン、ね。覚えとく。つか、俺忙しいんだよ!」
そして「行くぞ」と茶髪に告げてスタスタと歩き出した。
…人の名前聞いといて、自分は名乗らないんだ。
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