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アッシビア首都・アルドラ
少女が歌を口ずさみながら軽快に歩いていた。
しかし、それは一本の着信により遮られる。
「あっ、お父さん?うん……お仕事?……わかった。気をつけて。」
通信を切り、少女・リイニャ・ライブリームは小さくため息をついた。
最近の父は仕事ばかりでなかなか帰ってこない。やはり、娘としては父に会いたいし、一緒に夕食も食べたい。
友達には「ありえない」と返されたけど、どうしてもそうしたいと思う。
「暗くなっちゃダメ!そうよ、まったく会えないわけじゃないもの!」
そう盛大な独り言を漏らしながら、リイニャは再び歌を歌い始めた。
「……こちらG3。敵のテロ組織を捕捉。指示を求む。」
ジェノフォンは息を潜めながら携帯端末に呼びかけ、指示を待った。
「~~♪、~♪」
歌が聴こえる。
若い女の声だった。
敵組織のメンバーの誰かが歌っているのだろうか。
綺麗な歌声だった。
『こちら、本部。突入を許可します。建物を殲滅してください。』
「…了解。」
ジェノフォンは小さな声でそう返すと、立ち上がった。
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