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デナメイスは発狂した。
電子資源・ウルディオが体に侵入する事を拒み、我を忘れ、研究員を殺していった。
テールが見たのは血の海に沈む幾多の死体と、その真ん中に立つデナメイス。
「ああ…逃げてくれ、テール。君を殺したくない。」
デナメイスは辛うじて意識がある状態だった。
しかし、いつまたその意識が消えて暴れ出すかわからない。
(あなたは沢山の研究員を殺したのに…。)
テールは黙って拳銃をデナメイスに向けた。
(何故…私を殺したくない?)
テールの無表情の瞳は酷く怯えるデナメイスを映した。
「俺は…好きなんだ。テール…君が…好きなんだ。」
「好き…?」
デナメイスが紡ぐ言葉はいつもテールの胸を弾ませたのに、今は苦しくする。
(何…?体の故障か?)
テールにはわからない。
しかし、デナメイスにはわかっているのだ。
だからおかしくなったのだ。
「寂しい…寂しい寂しい寂しい…さみ…しい…さみしいよ…、テール。」
(あなたは…またあの時の言葉を繰り返す。)
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