12人が本棚に入れています
本棚に追加
──何故、あなたは寂しいのだ…?
『もし、俺がこの研究施設に入れられなくて、君が違うところで生まれていたなら、こんな苦しい思いはしなくて済んだのだろうか。』
いつだっただろうか。
デナメイスがそんなことを言っていた気がする。
『違う場所で巡り会うことが…出来ただろうか。』
ああ…きっと、無理だ。
我々は此処という存在があったからこそ巡り会ったのだ。
何故だろう…また、胸がチクリと痛んだ。
これが気持ちというなら、あなたはこれをなんと言う?
「テール…寂しい…生きたい…生きたいのに…君と、生きたい!…生きたい!!」
パンッ…
無惨にも一発の銃声が響いた。
それは、デナメイスの眉間を貫き、大量の赤い血の花を咲かせた。
テールは眉ひとつ動かさず拳銃を下ろした。
「…この人物を危険と判断し排除しました。処理をお願いします。」
この事件は、後に百年経っても語られることになる。
ここで行われた実験が成功したのは九十年後のこと。
そして、現れる。
人類の悲願だった強化人間…。
世界を変革する存在。
───『Gray genius』。
最初のコメントを投稿しよう!