12人が本棚に入れています
本棚に追加
さっきまで演説に毒を吐いていた青年・ジェノフォン・フリーグルは金色の髪を風に舞わせながら、車へと身を翻す。
車に乗っていたのも青年だった。
「いきなりの呼び出しだな。ヨーギ。」
「この演説を聞いているだろ?」
運転席で呆れたようにラジオを指す青年・ヨーギ・ヨンティーはジェノフォンと同業の仲間だった。
皇帝の演説はまるで終わることを知らないかのように続いている。
「理想論だ。しかも他者の意見を無視した、な…。」
ジェノフォンが眉間に皺を寄せた。
「ああ…。最悪だな。おっと、やっと大事な部分になったっぽいよ。」
皇帝の演説は最高潮を迎えていた。
『私は宣言する!栄光を手にするためならば、幾多の血を流そうとも、命を散らしたとしても、戦い続けることを宣言する!』
ジェノフォンもヨーギも顔をしかめた。
『戦え!我らは戦慄を知らぬ兵士!戦うのだ!!』
「ああ、戦うさ…。あんたらを潰すために。」
高台に立つひとりの男はタバコを吸いながら携帯電話のモニターを睨みつけた。
最初のコメントを投稿しよう!