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鍵をかけていないため、ドアはすんなり開いた
「不用心だなぁ……」
壁沿いに積まれたトレーを作業台の上に何枚か置くと、さっそく準備に取り掛かった
「えぇと……ビーカービーカー………ぅん、あれっ?」
必要数分を数えているとビーカーの数が足りないことに気がついた
「おかしいなぁ…先生間違えたのかなぁ……でもこれだと確かに明日全員分ないような」
ここで突然背後から物音がした
ビクッと一瞬体をこわばらせると、ゆっくり背後を振り返る
我ながら情けない
どうやら音の発生源はとなりの理科室からのようだ、心なし人の声も聞こえるような気がする
「良かった…他にも生徒がいるなら…その人たちに聞けば」
ビーカーを乗せたトレーを一応作業台の中央に置くと、理科室に繋がるドアの前に近づいた
どうやら複数いるらしい
相手を刺激しないようにゆっくりと中を窺うように開ける
―――そして
複数の視線が合うのと同時に葵は息をのんだ
「あーあ、ほらだから誰か来たみたいだって言ったじゃないか」
「そういうお前も中断する気はなかっただろうが」
「どうするんすか?」
腰が抜けかけた
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