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「やっ山口先生?…どうかなさったんですか」 「それはこっちのセリフよ。どうしたのその足、血だらけじゃない、まさかその状態で電車に乗るわけじゃないでしょうね」 えっ?と膝を見ると、血が流れていた どうりでさっきから痛みが引かないはずだ、靴に履き替えるときもスカートに隠れて見えなかった 「あわわわわわ………えぇと…これはぁ……そのぉ………」 「また階段から落ちたの?」 「そっそうなんでって…先生……私がしょっちゅう階段から落ちるの知ってたんですか?」 「あらっ、有名よ」 笑顔で言われて地に堕とされた気がした そうか、有名なのか…… 初めて知らされるその事実がなんか微妙にやるせない まだ高1の筈なのに、すでに変な方向で有名になっている 「4月の始めに階段上から生徒が降ってきたって、職員室でも話題になったのよ。それより早くそれなんとかしないと」 「あぁはい…すいません」 げんなりした 今日は色々と運が悪い、こんな日は早く帰って寝るにかぎる 鞄からハンカチを取り出して止血すると、意外にもすぐに止まった どうやら動き回っていたから止まらなかったらしい、足に跡になってついた血も拭き取った それを確認した山口が口を開いた 「それじゃあ帰りましょうか」 「あっ…先生早い」 先に歩きだした山口を追いかけるようにして葵は慌てて歩きだした 横に並ぶようにして上を見上げるように山口をチラミする 『綺麗な先生だよなぁ』 それから二人は他愛のない会話をしながら駅に向かうと、反対方向と言うことでそのまま別れた
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