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そして、その二人の様子を窓からずっと覗いている人物がいた 例の諫早裕也だ 「アイツ面白いな」 「どの辺が?」 返答したのは諫早裕也の背後で、机に乗りあぐらを掻いている生徒だ 「痛みに対してあんなに鈍感なところだ。いや無関心と言うべきか。見たか?階段からあんなに落ちても普通に歩いてたぞ」 「珍しいな、お前が自主的に他人に興味を持つのは」 諫早裕也はそれには答えず、口元に薄気味悪く笑みを浮かべる それを夕日が照らし余計に気味の悪さを際立てた こういう顔をするときは良くない事を考えていると言うことを、経験上机の上の男子学生は知っていた 「名前もクラスもわかんねぇのにどうすんだよ」 しばらく考えるように諫早裕也は黙った 「名前は椎名、クラスは1-Bだ」 「うわっ、いつの間に調べた」 「上履きに書いてあった、クラスは1-Bを出るときにかばんを持っていた」 「あぁ、なるほど」 つまり、葵は逃げられたと思っていたが実は今までずっと監視されていたようだ もう逃げられない 「それよりお前、腕は大丈夫なのか?」 諫早裕也は葵が逃げるときにドアに挟まれた左腕を見た 挟まれたところが赤くなり、薄皮が剥け血が滲んでいる その為、長袖の制服を今は捲っている 「どうって事はない」 あの脅えた顔を見れたことと比べれば 「そうか……」 そう言って生徒は机の上から降りると無言で諫早裕也の左腕を取り、血が滲む傷口に口をつけると舐めあげた 背後では再び男子生徒のあえぎ声が響いていた
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