第一章

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その問いに、ラウルはぼんやりと揺れる炎を眺めながら答える。 「んー……実はな、道に迷ったんだ」 その口調は冗談めいているが、嘘は無い。 レン達は知るよしもないがラウルは重度の方向音痴であり、先程もまた、道に迷ってさまよい歩いていた所で血の臭いを嗅ぎ付けた訳で。 「まぁ……ガキの頃からずっとだし、治るようなモンでもねーしな」 ラウルはそう苦笑いを浮かべ、かじりかけの馬肉を火で炙る。 そして、パチパチと薪が弾ける音に重なった足音はレンとラウルの間で止まった。
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