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血の臭いだ。
青臭い春の風がその向きを変えると、血なまぐさい悪臭が鼻をつつく。
辺りに先程までの花の香りと人の気配は無く、流れてきた悪臭にメイは顔をしかめた。
「……敵?」
そして、メイは眉を潜め、風上へと馬を走らせる。
幼さが残る顔つき……と言っても、メイはまだ17歳だからそれはしょうがない。
その翡翠色の瞳は細められ、闇に浮かぶ“ナニカ”を見つめている。
そして、その“ナニカ”の正体が判ると同時に、メイは自然と剣を抜いていた。
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