第一章

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しかし、砕けはしなかったもののゲレーテの右目から側頭部にかけては陥没し、右目があった場所……眼孔からはドロリとした体液が垂れ流れ出した。 「クククク、まさかこれ程までとはな」 が、“そんな事は気にしていない”とでも言う様にゲレーテはラウルの首筋から牙を抜き、崩れた顔に笑みを浮かべた。 その笑みをラウルは睨みながらも右手に握った剣をもう一閃。 ……振るおうとするが、不意に力が抜けた様に、その手が剣を離す。 そして、淡い水色の剣は乾いた音を立てて地に落ちた。
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