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その音を聞きながらラウルは、霞む視界の中に崩れた笑みを浮かべるゲレーテを収めて牙剥く様に顔をしかめた。
「即効性の毒、か……」
そして、ゲレーテは頷きながら右手をラウルへと伸ばして補足する様にラウルの声に続ける
。
「クク、ただの毒ではないぞ……ヴァンパイア・ウイルス。貴様も私の眷族にしてやろう」
その声は、左前頭葉辺りを中心に顔面がひしゃげている為にやや不明瞭だが妖しく揺れ、ラウルの心に染み渡る様に響く。
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