第一章

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その動きには殆ど無駄がなく、洗練されている。 が、しかし、多勢に無勢、自分が駆る馬程の巨体で軽々と宙を舞う餓狼の群と、体内で圧縮した砂を槍の如く吐き出す砂竜の熾烈な攻撃を完全に捌き切れずにジワジワと、メイは押され始めていく。 無論、攻撃は止めないのだが。 「くっ……ちょっと…無茶だったかな!!」 と、メイは小さく呻きながら、餓狼が放つ強烈な前脚の一振りを肩当てで受け止め、一瞬だけ動きが止まった隙にその喉元を一突き。 ドス黒く熱い血がその端正な顔にかかる頃には別の狼の右目をしかと握った剣で斬り裂く。
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