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すると、教室の中央付近から、ガシャンと椅子が勢いよく倒れる音が響きわたった。それと同時に、先ほどまで一人泣いていた梅宮が、ものすごい勢いで教室の後ろ側でたむろしていた生徒に向っていった。
梅宮は一直線に茶髪の男子に向かっていく。そして胸倉をつかむと、力強く作られた握りこぶしを、相手の顔面へ目掛け振り上げた。
「てめぇ! なにすんだよ!」
茶髪の男子は、殴られた箇所を手で押さえたあと、掴まれた手を振りほどき、梅宮を思い切り蹴飛ばした。しかし、梅宮はすぐに立ち上がり、再び茶髪の男子へと向かっていく。
だが、次はたむろしていた他の男子生徒につかまり、梅宮に暴行を加えはじめた。
そこで周りで見ていた生徒が数人がかりで止めに入った。梅宮は、しばらくその場にうずくまっていたが、よわよわしい力で立ちあがると、ゆっくりと、しかし確実に茶髪の男子へと歩を進めていく。
そして、涙で真っ赤にはれてしまった目を一直線に向け、叫んだ。
「お前が! お前が智久君を殺したんだ!!」
ボロボロの体で、なおも向っていこうとする梅宮の姿を見て、俺は不思議でしかたなかった。
どうして? どして俺なんかのためにそこまでするんだよ。バカじゃねぇの? 俺のことなんてほっときゃいいじゃねぇか。何ムキになってんだよ。くだらねぇ。
しかし、俺の思いとは裏腹に、目からは抑えきれない感情が溢れだしていた。
そんな俺の肩にやさしく手を添えながら、閻魔は言った。
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