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「いるじゃないか。君のために本当に一生懸命になってくれる人が」
続けて、閻魔は俺に静かに語りかけた。
「自殺が無条件で地獄行きと決まっている理由はな、これなんだ。いいか。この世に他人に迷惑をかけない自殺なんて存在しない。人が死んだら、必ず悲しむ人がいる。その悲しみはとてつもなく深い。それを人に与えてしまうことが、もっとも罪深いことなんだよ」
俺の心に、閻魔の言葉がグサリと突き刺さる。それと同時に、俺は自分がしてしまった過ちを理解した
そうか。ようやく気付いた。
クソ。なにやってんだよ俺は。愛しい存在を失う悲しみは、痛いほど知っていたはずなのに。俺はそれを、他の人に与えてしまった。
どうして気付かなかったんだ。俺のことをこんなに思ってくれてるヤツが、あんなにも近くにいたことに。
バカなのは……俺のほうだった。
梅宮。今更遅いかもしれないけど、俺の声はもう届かないけど、これだけは言わせてくれ。
ごめん。本当にごめん。
自分の不甲斐なさが悔しくて、うつむき涙を流している俺に、閻魔は言った。
「さぁ、そろそろ時間だ」
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