罪深き行為

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 閑静な住宅街。静かに流れる汚れた川にかかる小さな石造りの橋。ゆるい弧を描きながら学校へと続く長い長い坂道。  中学校に入学してもう1年以上通い続けている通学路。今まで一度として心地よい気持ちで通ったことのないこの道を、俺は地面を見つめながら、トボトボと歩いて行く。  行きたくねぇな。あぁ行きたくない。  しかし、歩を一歩、また一歩と進めるたびに、否応なしに学校は近づいてくる  学校の前の坂道を登りきり、校門を通る。それからげた箱へと向かい、自分の上履きをカバンの中から取り出す。  学校に置いておくと、絶対になくなっちまうからな。 「あ……あの、おはよう。智久(ともひさ)君」 「あぁ。おはよう」  ふいに後ろから投げかけられた、なんともよわよわしい挨拶に、俺は後を振り返らずぶっきらぼうにこたえた。  すると、彼、梅宮(うめみや)はそそくさとげた箱から取り出した上履きを履く。それからすぐ、タッタッタと階段を上っていく音がした。  まったく。アイツもよく毎日毎日俺なんかに話かけてくるな。まぁ小学校からの付き合いだから、シカトするほうが気まずいのか?  バカらしい。どうせ教室じゃ自分に被害が飛び火するのが怖くて、まともに俺に話しかけられない癖に。  心のなかで毒づきながら、俺は上履きに履き替え、これまた通学とどうように重い足取りで教室に向かう。
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