罪深き行為

4/13
前へ
/15ページ
次へ
 階段を上り、トボトボと自分の教室に向って歩く俺。教室の前まで来ると、中からはガヤガヤと賑やかな話声が聞こえてくる。  俺が教室に入ると、先ほどまで賑やかだった教室が一変、皆俺を見ながらコソコソとした会話になり、完全に馬鹿にしているような、とても醜い笑みを浮かべ始める。  わざとなのかどうかはわからないが、いたるところから俺に対しての悪口が聞こえてくる。  まぁいいさ。いつものことだ。  俺はなぜかひっくり返されている自分の机へと向かう。  くだらねぇ~~。こんなことして何が楽しいのかねまったく。  すぐさま机を元に戻し、俺は腕を枕代わりにして眼を閉じた。寝ていれば、時が早く過ぎていく気がして楽だった。 「おい」  俺が腕の中に顔をうめてからすぐ、一人の男子の声が聞こえたと同時に、机ごと俺は吹っ飛ばされた。  痛みに顔を歪めながら見上げると、そこには3人の男子が、苛立った眼で俺を睨みつけていた。  何なんだよ。俺が何したってんだ。 「お前、なにすかしてんの?」  三人組みの真ん中にいる、背が高い茶髪の男子が俺に向って冷たく言葉を放つ。  あぁ~そう言うこと。俺がこのくだらないイタズラにあまりにも無反応だったから、ムカついて俺を蹴り飛ばしたってわけか。ちょっとまずいな。 「いや……そんなつもりは……」  俺が全て言い終わる前に、茶髪の男子は俺の胸倉を掴み、次は先ほどよりも少し強い口調で罵声を浴びせる。 「ってかさ。もうお前マジ学校くんなよ。見てるだけでイライラすんだよね」  どうする。何て言えばこの場を切り抜けられる? 俺は頭の細胞をフル動員して思考をめぐらす。    しかし、なかなか良いアイディアが浮かばない。  そんな黙りこくっている俺を見て、茶髪の男は胸倉を掴む力を一層強くした。 「シカトぶっこいてんじゃねぇぞコラ」  やばい。とりあえず何かしら言わないとやられる。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加