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やべどうしよ……。こうゆう時って今までの経験からいくと……。
キャー!
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のパターンしか思い浮かばない!ぬかった。新刊の発売に興奮して周りの注意を怠ってしまったか……。さよなら本日の安らかなる時間よ……。
「……」
手が重なった少女が俺の顔をじっと見てくる。
「……」
俺はその視線を受け止める。
叫ぶなら早く叫んでほしい……。いつものことながらこの時間がつらい……。
「……」
少女が視線を手元の本に移す。
ど、どうしたんだ?叫ばないのか?いやできれば叫んで欲しくないんだけど。
「……」
再び俺の顔を見つめてくる。
「……」
俺はその視線を受け止める。
叫ぶか?叫ぶのか?いいぜ、叫ぶってなら叫べよ!いや、やっぱ叫ばないで!
「……似てる」
「……は?」
「……」
俺がてんぱってると少女は何かを呟いてレジへと向かって行った。
「……これ」
「あ、ふぁいっ。ろ、649円になりまー」
「……はい」
「ど、どうもあじゃしゃしゃー」
「……」
そしてそのまま羽河の意味が分からない挨拶を背に少女は店を出ていった。
……は?なにこれ?こんな展開予想外何ですけど?俺はどうすればいいの?つか羽河のやつかみかみじゃねえかよ。いや、それはさておきそもそもさっきの子は何で呟いたんだ?声が小さ過ぎて聞こえなかったが、罵倒とか?そうか!叫ぼうと思ったけど俺の顔にびびって声が出なかったのか!そんなに恐いのか俺の顔は……。
「竜ちゃん」
そんな思考をしてると。いきなり肩を叩かれた。
「うぇえい!?」
「うぉ…!?まさかそんなにビックリするとは」
振り向くと楓の顔があった。
「なんだ楓か。脅かすなよ」
「いや竜ちゃんが驚きすぎなんだよ。意外と小心者?」
そう言って小首を傾げる楓。
「今のは考えごとをしてたからだ」
そう言って楓にデコピンをかます。
「った!?あにすんのさー」
少し涙目で額をさする楓。
なんかこのやりとりも馴れたな。
「っていうか欲しい本は見つかったの?」
「ん?……あぁ、これだ」
楓に言われてようやく本を手に取った。
「んー。その表紙の男が主人公?」
「そうだけど」
「なんか竜ちゃんに似てるね」
「は?」
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