部屋の二人

Ａ

「おはようおはよう」

僕はいつもより少し遅めに
部屋の窓を開けた。
今日は雨が降りそうで降らない
とてもはっきりしない生憎な天気だった。

「あのねあのね」

風も吹かない。
生ぬるい、立ち止まったままの空気が
僕の頬を撫でた。
気持ちが悪い。
空気がぬかるんでいる。

「君、君」

僕は、あの気持ちの悪い空気と
触れ合ったことを
すっかり無かったことのようにして
窓を閉めた。
そして先ほどからお話が絶えない彼と
向かい合う。

「あぁ、君にもご飯をあげないと」

彼はピチチ、と鳴くと
狭いカゴの中でぐるぐると暴れた。