【第Ⅰ章】

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「……。……キレイな瞳だなっそれに、笑った顔は花のようにかわいいっ……青花(せいか)。お前は青花だっ!くすみのない碧い花」  唖然てしている青花に、にかっと笑うと「いいか、青花だぞっ」と言ってくる。 「んで、水七流(みなる)。澄んだ水のような瞳と、川の流れのような優しい心」  次は青花に「いいか、水七流だぞっそれなナル」と言って部屋に戻っていった。 「名……だね」 「……うん」  自分達よりまだ年下の、まだ造まれて五百年程しか生きていない子供が付けた名は、とても優しく、温かい形なき宝。  神が誕生し幾世紀。初めて与えられた名。  名とは、その者の存在を現実とするもの。  二人ともくすぐったそうな顔をし、それから顔を見合わせ笑った。
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