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[Side:闘神]
「なぁ、これ何か知ってる?」
布の包みを開け、中を見せてきた。
「あぁ」と頷き、中身を持ち上げる。
それは竹笛。
二人が今いるのは、下界の珍しい物を保管しておく倉。
その中の物を、自分は殆ど全て知っているが、大神は一つ一つ自分の手が届く範囲で教えてくれた。ただし上の方は手が届かないため何も言わない。
「笛ですよ。下界の者はこれを専門に仕事をする者もいるらしいです」
「どうやって使うの?」
「私も少し心得があるくらいですが……やってみましょうか?」
「うんっ!」
大きく頷いた大神についついクスリと笑ってしまった。
ゆっくりとした動作で笛を構える。
笛の音が、倉全体に響く。
とても優しく、穏やかな音。
思わず感嘆の声を漏らした大神は、しかし慌てて口元を両手で覆う。
静かに目を閉じ、笛の音色に聴き入っていた。
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