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「なぁなぁ、知ってる?」
「?何がですか?」
「この天界にはな、澄んだ水の流れる川が七つあるんだっ」
「あぁ、七川(しちせん)でございますか。
えぇ、それが何か?」
朗らかに聞き返すと、大神は窓の枠に腰掛け、その上に右脚をのせると抱くようにして外を眺める。
まるで、遠くを見霽かす(みはるかす)かのように。
横まで歩き、同じように外を眺める。
どこまでも続いていくような草原(くさはら)と空。
この神殿は南北を向いている。
南に入口、北にはこの草原と、まるで別々の世界のようにも思える。
「俺ね、ヤな気持ちの時とか悲しい時とか、見に行くんだ。
そうするとね、不思議と落ち着くんだ」
「それは私も同じでございます」
ゆっくりと目を閉じ、両の手を胸の前に翳す(かざす)。
「川の流れはとても穏やかで優しく、その水は澄んでいて美しい……。見ているだけで癒されます」
「うん。
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