蛍の光

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 「麻雀かぁ………」  楓は一度体を反らした掲示板に再び向かい、その簡素なポスターに見入っていた。昔みた任侠ものの映画で麻雀をやっているシーンがあって、厳つい男たちが大金を賭けて勝負している様を見て感動を覚えたことがあった。  賭博行為どうこうという問題ではなくて、極度の緊張の中男たちが命を削るかのごとく勝負している様は正に“漢”そのものだった。  勝負の世界に生きる。実にダンディズムに溢れている。  楓は軽くウエーブがかった藍色の髪の毛をちょっと撫で付けてから、もう一度部活の時間帯と場所を確認した。  「月から金の4時から6時まで………場所は音楽室の横の部屋」  それを確認し、今からでも行ってみようかと考えた楓が身を翻すと、真後ろに女の子が数人立っていた。  「ねーねーキミ香咲くんだよね?」  「もう入る部活決めた?」  どうやら部活の勧誘らしい。楓はあまり相手にはせず、もう決まったからと適当にごまかしてその場を後にした。
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