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音楽室は東棟三階の北側に位置している。放課後のため吹奏楽部が練習しているらしくそこかしこから金管や木管、打楽器などの音がまとまりなく聴こえていた。
「音楽室音楽室………っと」
階段を昇り、三階に着いた楓は廊下に出て音楽室を目指した。廊下で練習していたサックスの女の子二人が楓の顔を見て色めき立っていたが、楓は内心軽い苛立ちを感じながら廊下を進んだ。
(吹奏楽部には入らないよ………)
女の子たちの期待を心の中で裏切りながら、楓は麻雀部部室だという音楽室横の部屋にたどり着いた。
木製のドアはすっかり色褪せてしまい、その佇まいから古い物置か何かのような印象を受けるドアだった。
「ここかな?」
ドアの周りをぐるりと見渡すと、ドアの上部に、片方の鋲がとれて斜めに傾いているプラスチックのプレートが掲げられていた。
「麻雀………部。読みにくいなぁ」
文字が消えかけており、かろうじて麻雀部と書いてあることがわかった。
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