863人が本棚に入れています
本棚に追加
/95ページ
「あー君言うな! 高等部に上がってまで、その呼び方で呼ぶな! 同じ人種と思われるだろ」
「幼なじみ何だからイージャン」
テヘッと秋姫は愛想笑いを浮かべる。
当人はかなり可愛いらしいポーズのつもりか、ウインクしながら人差し指を下唇に当てている。
秋姫は美少女とまではいかないが、愛嬌のある可憐な少女だ。
華がある。
一般生徒なら間違いなく
可愛いと思うレベルだ。
しかし、秋継にとってはそれは逆効果であったらしい。
椅子から立ち上がると、ビシッと指で秋姫を指す。
「だいたいその恰好をまず止めろ! 何だそのふざけた服は!」
「可愛いでしょう」
にんまり笑う秋姫の服装は、アガルタの指定学生服――から少し逸脱していた。
背中に羽が生えている。
羽毛を使ったのか、本格的な小振りな翼だ。
秋姫の可愛らしさにはあっている。
あっているが……。
「明らかに校則違反だろ? 風紀を取り締まる、風紀委員がそれでいいのか!」
「え~。 でも、皆可愛いーって言ってくれるよ?」
「皆って誰だ」
頬がひくつくのを我慢しながら秋継が訴える。
秋姫は何故か両腕を広げて、ヤレヤレと言いながら呆れたジェスチャーをすると、携帯を取り出した。
最初のコメントを投稿しよう!