電脳魔術師

5/25
863人が本棚に入れています
本棚に追加
/95ページ
「あー君言うな! 高等部に上がってまで、その呼び方で呼ぶな! 同じ人種と思われるだろ」 「幼なじみ何だからイージャン」 テヘッと秋姫は愛想笑いを浮かべる。 当人はかなり可愛いらしいポーズのつもりか、ウインクしながら人差し指を下唇に当てている。 秋姫は美少女とまではいかないが、愛嬌のある可憐な少女だ。 華がある。 一般生徒なら間違いなく 可愛いと思うレベルだ。 しかし、秋継にとってはそれは逆効果であったらしい。 椅子から立ち上がると、ビシッと指で秋姫を指す。 「だいたいその恰好をまず止めろ! 何だそのふざけた服は!」 「可愛いでしょう」 にんまり笑う秋姫の服装は、アガルタの指定学生服――から少し逸脱していた。 背中に羽が生えている。 羽毛を使ったのか、本格的な小振りな翼だ。 秋姫の可愛らしさにはあっている。 あっているが……。 「明らかに校則違反だろ? 風紀を取り締まる、風紀委員がそれでいいのか!」 「え~。 でも、皆可愛いーって言ってくれるよ?」 「皆って誰だ」 頬がひくつくのを我慢しながら秋継が訴える。 秋姫は何故か両腕を広げて、ヤレヤレと言いながら呆れたジェスチャーをすると、携帯を取り出した。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!